このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。
2006年11月29日
32nmプロセス世代以降のプラズマエッチング装置開発に向けた
反応室内のモニタリング技術を開発
反応性ガスの三次元分布と異物粒子の動きを可視化し装置設計やプロセス条件設定に
適用可能に
株式会社日立製作所 中央研究所(所長:福永 泰/以下、日立)は、このたび、32ナノメートル(nm)プロセス世代以降のLSI製造に対応するプラズマエッチング装置の開発に向け、ウェハを加工する反応室内でのモニタリング技術を開発しました。今回、開発したのは、ウェハをプラズマエッチング装置で加工する際の反応性ガスの分布や、LSI量産の歩留まり低下の原因となる異物粒子*1の軌跡を可視化する技術です。これらの技術を使うことにより、エッチングの加工精度に影響を及ぼす反応性ガスの分布を把握して均一に調整することや、歩留まりに影響を与える異物粒子の状況を把握して移動を制御することが可能になります。今後、本技術を用いたプラズマエッチング装置の設計やウェハを加工するための最適なプロセス設計をめざしていきます。
近年、製造プロセスの微細化により、LSIの高集積・高性能化が進んでおり、将来のLSIでは、一層の微細化と高い加工精度が求められます。32nmプロセス世代のプラズマエッチング装置では、トランジスタのゲート加工において、ウェハ全面で加工寸法のばらつきを1.6nm以内に抑えることが必要となります。
プラズマエッチングは、真空の装置内でプラズマ放電を発生させ、その内部で発生したイオンや、原料ガスから生成した活発な原子や電子であるラジカル*2をウェハ上の固体材料と反応させて微細なパターンを形成する加工技術です。従来、プラズマエッチング装置の開発では、ウェハ全面で均一な加工精度を得るために、ウェハに入射するイオンの分布を均一にし、装置設計やプロセス条件の設定が行われてきました。しかし、更なる微細化に対応していくには、イオンに加え、エッチングの加工精度に影響を及ぼす反応性ガスの分布を、正確かつ詳細に観測する技術が不可欠です。また、微細化に伴い、歩留まりに影響を与える異物粒子のサイズが小さくなるため、反応室内での堆積物の剥がれなどで発生する異物粒子の動きを詳細に観察する技術の開発が求められていました。
そこで、日立は、32nm世代以降のプラズマエッチング装置の開発に向け、反応室内の反応性ガスの三次元分布ならびに異物粒子の動きを可視化する技術を開発しました。今回、開発した技術は以下のとおりです。
1. 反応性ガスの分布を三次元で可視化する技術
- 真空の反応室内で利用可能な小型集光器を使い、これを上下移動ならびに回転させながら反応室内のプラズマの発光スペクトルを測定し、三次元分布を解析する技術です。本技術により、イオンとラジカルの動きを把握し、エッチング処理中に分布が均一になるように反応性ガスの導入量を調整するなど、エッチングの加工精度を向上させることが可能になります。
2.レーザーシート光を用いて異物粒子を可視化する技術
- 高さ方向の照射幅を20mmに広げたレーザーシート光を用いて、ウェハ面上の異物粒子の軌跡を約100mmにわたる広範囲で可視化する技術です。従来は、エッチング処理後のウェハを異物検査装置で観察し落下した異物粒子の総数を数える方法が用いられていたため、異物粒子の発生箇所や発生時間を突き止めることが困難でした。本技術では、反応室内で装置を稼動させながら異物粒子の動きを詳細に観測することが可能です。
今回、異物粒子の動きをウェハ面上のガスの温度分布データと比較した結果、反応室内のガスの温度が異物粒子に及ぼす力(熱泳動力)を利用して、異物粒子の移動を制御し、異物粒子の落下を低減できることを確認しました。
今回開発した反応性ガスの三次元分布モニタ技術は、32nm世代以降のプラズマエッチング装置の開発において、最適な装置設計やプロセス条件を設定するための有用な解析技術となります。また、異物粒子モニタ技術によって、ウェハ汚染の原因究明やウェハ上への付着を防止する機能の開発が期待されます。
なお、本技術は、2006年11月29日、30日に名古屋で開催される「28th International Symposium on Dry Process」にて発表します。
- *1
- LSI量産においては、反応室内の堆積物の剥がれなどにより固体粒子が発生し、量産の歩留まりを低下させる。32nmプロセス世代以降では、100nm以下の異物粒子の抑制が重要となる。
- *2
- 原料ガスから解離生成した活性な原子、分子。ウェハ上の固体材料と反応することでエッチングが進行する。
お問い合わせ先
株式会社日立製作所 中央研究所 企画室 [担当:花輪、木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
TEL : 042-327-7777(直通)
以上
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)のAdobe(R) Reader(TM)が必要です。